熱中症は、いつの間にか重症になる病気。冷房と麦茶で予防が大事。

熱中症イメージ 内科・生活一般
熱中症

熱中症は、暑さに対して体温調節が間に合わないためにおこる病気です。重症度には3段階あり、軽症のうちは治せますが、ある地点を越えると治せなくなる、とても危険な病気です。夜も含めて一日中、冷房を使って暑さを避けることと、普段から麦茶などでこまめに水分補給をして脱水も予防しておくことが大切です。

熱中症は、暑さを避けることが何より大切。夜も冷房を使いましょう。

概ね、気温28度以上、湿度70%以上で熱中症のリスクがあがります。温度と湿度から換算できる、暑さ指数(WBGT)28以上で高リスクとされます。家の中であっても、熱中症になります。地球温暖化に伴い冷房なしでは過ごせなくなってきていますので、夜も冷房を使いましょう。

暑さ指数(WBGT)と熱中症の危険度:「日常生活における熱中症予防指針」Ver.3 (日本生気象学会)より

熱中症で命を落とすことがあるのはなぜ?

私たちの体は、いろいろな種類のタンパク質が組み合わさって、時にその形を変えながら、エネルギーを生み出したり、老廃物を排出したりして、生命活動を営んでいます。私たちの体が高熱にさらされ続けると、タンパク質が変形してしまって働けなくなり、体内環境を維持できなくなります。ちょうどゆで卵が二度と生卵には戻れないように、ある時点をこえてしまうと、タンパク質が壊れてしまって働けなくなり、命の危機に瀕します。

熱中症の3段階、熱失神・熱痙攣->熱疲労->熱射病

熱中症の症状は、めまいや立ちくらみ(熱失神:頭への血流不足)、手足のつり(熱痙攣:塩分不足)、頭痛やだるさ・吐き気(熱疲労:脱水症状)と症状がすすみ、高熱や意識障害(熱射病:命の危機)に至ります。最重症の熱射病では、小さな血栓が無数にできて血管を詰めてしまい、肝臓や腎臓、脳といった大切な臓器に、取り返しのつかないダメージを負ってしまいます(多臓器不全)。いつのまにか重症化していて後遺症が残ったり、命を落とすこともあるため油断は禁物です。

大量の発汗は、体温を下げようとするサイン=熱中症の初期症状。

打ち水をすると涼しくなるように、汗が蒸発する際に気化熱として熱を奪ってくれて体温が下がります。大量の発汗は熱中症の初期症状ですので、汗が噴き出し続ける場合には、ただちに涼しい場所に避難しましょう。そして、スポーツ飲料などでこまめな水分補給をしましょう。水分は、塩分・糖分と一緒のほうが腸から吸収しやすくなります。具合が悪くて少量しかのめそうにないときには、OS-1などの経口補水液のほうが効果的です。

twitterでみかけた、すばらしい応急処置=涼しい場所で、ハッピーターンをなめて水を飲みながら、首や脇の下を冷やす

先日twitterでみかけて、とても良いと思った、実話に基づく応急処置があります。それは、涼しい場所で、ハッピーターンなどの甘くてしょっぱいスナック菓子をなめて、塩分・糖分を補給しながら水を飲むことです。セブンイレブンで、セルフサービスで注ぐ方式のアイスコーヒーを買うときに手に入る、氷の入った蓋つきのカップで首や脇の下を冷やしながらされていて、さすがだと思いました。元看護師さんの機転だったとのことで、手近に手にはいるもので、的確に処置をされていて、本当に素晴らしいと思いました。吐き気で水分が取りにくい場合にも有効だと思います。ただし、症状がよくならない場合には、救急病院を受診しましょう。

脱水の予防には麦茶がおすすめ。スポーツ飲料やOS-1は、予防にはお勧めしません。

スポーツ飲料には糖分が多く、OS-1などの経口補水液には塩分が多く含まれます。食事もとれていて、症状もないのに脱水予防のために飲み続けると、糖分や塩分をとりすぎて、糖尿病や高血圧といった、別の病気になってしまいます。特に症状がないときには、麦茶(カフェインが少ないお茶)や、水、ペリエなどの甘くない炭酸水などをこまめにとることがおすすめです。

  • スポーツ飲料のレシピ例=水1Lに砂糖大さじ4杯半(40g)、食塩小さじ1/6杯(1g)、レモン果汁大さじ2杯(30ml)
  • 経口補水液のレシピ例=水1Lに砂糖小さじ6杯(18g)、食塩小さじ半分(3g) 

必要な水分量は、尿の色をみて調節しましょう。

食事以外からとる1日の水分量の目安は、500mlペットボトルを2-3本分とされますが、体格や活動量により変化します。水分が足りているかどうかの判断には、尿の回数や間隔、色合いがとても参考になります。尿がでていなかったり、色が濃いようならば、こまめに追加して飲むのがおすすめです。

平成27年度「見える」安全活動コンクール(厚生労働省)、優良作品(宇野重工(株))より

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