感染症は、以下の3つの要因が揃うことで成立します。
- 病原体(感染源)
- 感染経路
- 宿主(易感染性個体)
この3つの要因については医学部の感染症の講義で習いましたが、感染症対策をする上での捉え方なのだなと、今になって振り返って思います。
インフルエンザや新型コロナの場合
例えば、インフルエンザウイルスや、新型コロナウイルスの場合は、以下のような具合です。
- ウイルス
- 飛沫感染 or 接触感染
- 一般の人々
この3つの要素が揃うことで、感染がどんどん広がり悪循環に陥ります。
ジャンケンの三竦みも、どれか一手がなくなると勝敗が決するように、感染症の対策上は、3つの要因のどれか一つでも除くことが決定打になり得ます。
3つの要因に即した感染対策
例えば、インフルエンザの場合は、下記のような方策となります。
- ウイルスを封じ込める:発症から5日間は自宅待機とし、解熱して2日経過経つまで期間延長
- 接触・飛沫感染対策:手洗い、うがい、マスク、加湿
- ワクチン接種での予防
尚、インフルエンザウイルスは、ワクチンで発症を完全に予防することができませんが、重症化を抑える効果があります。従って、本人や家族に、病状が重症化しやすい人に、特に接種がおすすめです。気管支喘息や肺気腫といった呼吸器疾患のある方や、心疾患・腎疾患などの内ある方、65歳以上の方が一般的です。個人的には膠原病など自己免疫疾患の治療中の方や、癌の治療中の方、糖尿病の方などにもお勧めしています。
新型コロナウイルスの場合、2.の感染経路については三密と呼ばれる、密接(会話や会食)、密集、密閉という環境が感染経路となりやすいとされるため、social distanceを保ち、換気をよくすることが推奨されています。
このように、ウイルスの種類によって、伝播経路の特徴や、手持ちの武器としてのワクチンや治療薬の有無などが変わるため、対策にもそれぞれに応じてアレンジが加えられ流動的に変化します。
無理しすぎずに続けられる対策で
対策は、これをすれば完璧という考え方ではなく、これをするとかなり抑えられる、という捉え方が大切です。
また、かかってしまったら、本人にとっては予防の努力が無駄になったかのように思えてしまうかもしれませんが、予防した分、周りへの広がりは小さく抑えられますので、かけた労力は決して無駄にはなりません。
運・不運はつきもので、これは医療保険と似ています。お世話になることがなければラッキーだし、払った分損したと思わずに、困っている誰かの役に立っていると思うと気持ちも軽くなります。
3つに分ける捉え方
三権分立、非核三原則、キリスト教の三位一体、仏教の三帰依、日本国憲法の三原則、ロボット3原則などなど。物事や社会の枠組みの根本にまつわる事柄には、3という数字が相性が良いようです。
普段から、物事を理解するのに、大まかに3つに分けて捉えると便利なことが多いと思います。3つの要因は厳密に独立せずに重なり合うこともありますが、それはあまり気にしない方が良いです。
3つの要素に分解して考えると扱いやすくなり、使い勝手の良いことが多いように思います。2つでは不十分で、4つ以上では煩雑で、それぞれにデメリットが多いような気がします。あえて設定するなら、3つの要素と、その他という4つ目のカテゴリーを設定するぐらいでしょうか。