花粉の飛散量は、どうやって測っているの?

花粉の電子顕微鏡写真 アレルギー

天気予報などで花粉量についての情報を耳にする機会が増えています。花粉の飛散量を計測する標準的な方法として、顕微鏡で地道に数を数える方法があります(ダーラム法)。

標準的な計測法=ダーラム法

ダーラム法では、直径20cmの円盤で挟まれた、地上1.4mの計測場所に、ワセリンを塗ったスライドガラスを24時間設置して、付着した花粉を顕微鏡で数えます。

ウェザーニュースより

顕微鏡写真の例です。

日本気象協会より

花粉を、ほこりなどと判別しやすいように染色して観察しますが、花粉の種類の見分けには熟練を要します。

スギ花粉は、直径30-40μmの球体で、ドラクエのスライムのようにツノが生えているのが特徴です。

ヒノキはスギよりやや小さく、ツノはなくやや薄く染色され、内部に星形の模様がみられます。

花粉の模型(カプセルトイ)

花粉模型のカプセルトイがありました。キタンクラブ、手のひらサイエンス 花粉マスコットストラップ

日本の公式データは、ダーラム法

日本アレルギー協会の基準では、花粉の飛散量についてダーラム法で以下のような5つの暫定的な目安を設けています。

ランクダーラム法による測定(個/cm2・日)
少ない〜10個未満
やや多い10~30個未満
多い30~50個未満
非常に多い50~100個未満
極めて多い100個以上

BURKARD SPORE TRAP

ダーラム法は自然に降り積もる花粉をカウントしていますが、周囲の空間中の花粉を一定の流速で1日かけて収集して、顕微鏡でカウントする方法もあります。BURKARD SPORE TRAPと呼ばれる、標準化された方法で集めています。オーストラリアのメルボルンなどで行われているようです。

単位は個/m3で、ダーラム法の 個/cm2・日と異なりますが、計測方法としては、とても類似しています。

参考:Melbourne Pollen Count and Forecast, How is pollen measured?

リアルタイムな自動計測

ダーラム法では1日かけて降り積もった花粉の数を数えるため、時間帯ごとなどのリアルタイムな計測ができません。また、計測に手間や習熟を要し、どこでも誰でも行うことができないために計測場所も限定されます。こういった点を改良するべく、空間に含まれる花粉の個数を自動的に計測する機械も開発されています。

周囲の空気を取り込んで、浮遊している花粉などの粒子にレーザー光を当てて、大きさや光の散乱具合から花粉とゴミとを判別しています。血液中の白血球の種類の判別に使用されている、フローサイトメトリーと呼ばれる技術と類似しているようです。

まだ研究段階のようですが、異なる色の光を当てることで、花粉の種類の判別も試みられているようです。

自動計測器との単位の違い

ダーラム法は、単位が 個/cm2・日に対して、自動計測器の単位は、個/m3と異なります。両者を換算する試みもされていますが、結果にばらつきが大きく、十分に確立していません。

ややこしいのですが、海外などで用いられている、BURKARD SPORE TRAPで1日かけて花粉を集めて顕微鏡で数える方法も、単位は個/m3となります。単位だけでは自動計測法と区別できず、注意が必要です。

ウェザーニュースのポールンロボ

ウェザーニュースの花粉情報では、ポールンロボという直径15cmの球形の計測器を希望者に貸し出して各地のリアルタイムのデータを集計しています。自動計測法の一種です。

検出量に応じて目の色が変わったり、無線でのデータ転送に対応したりなど、ロボの世代を経るごとに改良を重ねて進化を続けているようです。

ウェザーニュースより

計測単位が個/日となっており、独自の集計方法なのかもしれません。

鼻やのどで大部分が捕えられます

植物の花粉はいずれも1mmの1/30ほどの大きさで、とても小さいのですが鼻や喉といった上気道で大部分が捕えられて、気管支や肺といった下気道には殆ど届かないとされます。

しかしながら雨など水分にさらされると浸透圧の刺激で花粉がはじけて内容物が出てきて、強いアレルギー反応を誘発することが知られています。特にイネ科で顕著で、咳症状を伴うことも知られています。

参考:初夏の、イネ科の花粉症イネ科の花粉症と、雷雨後の喘息

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