柑橘類のアレルギーは日本では稀ですが、世界的にもあまり多くはないようです。
症状は、喉のいがいがなどの比較的軽い症状(OAS, 口腔アレルギー症候群)から、食物依存運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)の報告もあるなど多彩です。イネ科の花粉症と関連しているとの報告もあります。(参考:花粉症と関係した、食物アレルギー)
2023年4月現在、通常の採血検査で調べられる柑橘アレルギーは、オレンジと、グレープフルーツに対するIgE抗体検査だけです。
特定のアレルゲンを、パズルのピースのように切り分けて、特にアレルギー反応を起こしやすい部位をアレルゲン コンポーネントと呼び、特別なコードネームをつけています。
柑橘類の場合、現在Cit s 1~3が登録されています。日本からの報告では、Cit s 2(プロフィリン)の陽性率が高かったようです。
コンポーネントの種類によっては、種を越えて保存されているものだったり、加熱や酸などで失活しやすい・しにくいといった特性や、重篤なアレルギー症状を起こしやすいかといった、一定の規則性があります。
現状、アレルギーの検査には限界があり、採血での検査結果と、実際の症状とが食い違う場合が多くみられます。
食物アレルギーの場合も、症状が出るまでの時間経過や、毎度のように症状を起こすかなど、詳しい状況を確認しながら推測することが欠かせません。
アレルゲンのコンポーネントが解明されつつあることで、採血検査が精度の高い検査へと進化しつつあります。
研究が進み、測定意義が確立すれば、コマーシャルの検査で測れるアレルゲンコンポーネントの種類も増えてくると思います。
それによって、アレルギーの診断や、見通しの予測の精度が上がり、アレルギーと付き合いやすくなるのではないかと期待しています。
参考文献
- A study of cross-reactivity between citrus fruit and pollen allergens in oral allergy syndrome and food-dependent exercise-induced anaphylaxis in Japan
Nobue T, et al. Fujita Medical Journal 2016 Volume 2 Issue 1 - Citrus allergy from pollen to clinical symptoms
Iorio RA, et al. PLoS One. 2013;8(1):e53680. - Components of plant-derived food allergens: Structure, diagnostics, and immunotherapy
Maruyama N. Allergol Int. 2021 Jul;70(3):291-302.