花粉症のある人が、りんご、いちご、さくらんぼ、もも、キウイといった果物を食べた時や、トマトなどの野菜を食べて喉がイガイガすることがあります。口腔アレルギー症候群(OAS)や、花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)と呼ばれる病気です。
この食物アレルギーは、症状の出る種類の花粉と、野菜や果物の構成成分(タンパク質)の形が似ている為に起きます。アレルギーの原因物質(アレルゲン)の形が似ていることを、交差反応性といいます。その症状は、花粉症の時期に限らず、食べるたびに一年中おこります。
発症率は、国や地域によってまちまちです。国内の報告では、カバノキ科(シラカバなど)の花粉症患者の20-40%程度にバラ科植物に対するPFASがあるとされます。スギ花粉症患者ではトマトとの交差反応性が証明されていますが、アンケート調査ではメロン・キウイフルーツでの症状発現頻度が多く、それらも含めたPFASの合併頻度は7-17%程度でした。(出典:食物アレルギーの診療ガイドライン2016)
口腔アレルギー症候群(OAS)、花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)
生の野菜や果物を食べてすぐ (数分 ~30分以内)に起こることが多く、症状は口の中や喉など、入り口に限局する場合が多いです。これは、種を超えて保存された成分(アレルゲンとなるタンパク質)が、たまたま熱や消化に弱いことが多いためです。
ただし、嘔吐、下痢といった消化器症状、全身性のじんま疹、血圧低下、呼吸苦・咳といった、全身性の激しいアレルギー症状(アナフィラキシー)を起こす場合もある油断ならない病気です。アレルギーの専門医に相談してみましょう。
花粉と交差反応性のある果物・野菜など
代表的な花粉と飛散時期(関東)
- カバノキ科(シラカバ、ハンノキ、オオバヤシャブシ):3-4月
- ヒノキ科(スギ):2-4月
- ヒノキ科(ヒノキ):4-5月
- イネ科(かもがや、はるがや):5-6月〜8-9月 春と夏の2峰性
- キク科(ブタクサ、ヨモギ):9月
- アサ科(カナムグラ):9月
出典:鼻アレルギー診療ガイドライン2016